「筑波大学結プロジェクト」による宇宙実証開始に伴い、筑波大学発ベンチャー「㈱ワープスペース」が地上管制局の可搬化実証に成功


「筑波大学結プロジェクト」が「㈱ワープスペース」の宇宙事業市場への参入を後押し

超小型人工衛星ITF-2の放出に成功―宇宙実証の開始

筑波大学「結」プロジェクトが開発した超小型衛星「ITF―2」(※)が、1月16日(月)午後6時10分、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」から放出されました。「ITF―2」は昨年12月、宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機で打ち上げられ、同14日にISSに到着した後、「きぼう」に運び込まれたものです。
結プロジェクトは、システム情報系の亀田敏弘准教授と本学の学生らが取り組む衛星設計・開発プロジェクトで、長期的なプロジェクトにおける「もの作り」を体系的に学んでもらおうと、亀田准教授が2011年3月に発足させたプロジェクト。JAXAによる「国際宇宙ステーション『きぼう』からの超小型衛星の放出機会提供」に採択された後、数々の宇宙環境試験をクリアして迎えた今回の衛星放出。ITF―2は今後、衛星からのデータやメッセージを世界中の人々が受信し、共有できる「結」ネットワークの構築実証を第一ミッションとし、超小型アンテナや新型マイコンの動作実証を行いながら、半年ほど軌道を周回する予定です。

ISS「きぼう」から放出された筑波大学のITF-2、ほか2機の超小型衛星(C)JAXA/ESA/NASA

㈱ワープスペースで衛星システムの低価格化を目指す―宇宙事業の市場拡大

また、筑波大学発ベンチャー「㈱ワープスペース」の代表取締役CEOでもある亀田准教授は、大学の研究成果を生かし、教育利用を念頭に置いた低価格な超小型衛星のトータルサポート事業、人工衛星からのデータを受信する地上管制局の可搬化などにも取り組んでいます。衛星が衛星を放出して打ち上げ費用をコストダウンさせるマルチパーパスな衛星打ち上げプラットフォーム開発も行っており、5年間の超小型衛星開発で培った経験やノウハウを生かして、トータル100万円(本体50万円、打ち上げ費用50万円)での打ち上げ実現を目指し、宇宙事業市場に本格参入しようとしています。
㈱ワープスペースでは、2月19日~28日、ブラジルのサンパウロで開発中の可搬地上管制局を用いた実証実験を実施しました。日本では受信できないITF―2からの情報を取得し、インターネット配信にも成功。「結とワープスペースがつながり、宇宙からの受信を通して世界中がつながることが目標です」と亀田准教授。

亀田敏弘准教授(写真左、ブラジル・サンパウロにて)

研究開発と宇宙実証を「結」プロジェクトで、低価格で実現可能な超小型衛星の実用化や量産化、宇宙事業の市場拡大を筑波大学発ベンチャー「ワープスペース」で実証していくことで、「ITF―2の状態が安定したら、子供たちに受信方法を教えるイベントなどもやってみたい」と、今回の放出と実証実験の成功を機に宇宙事業と教育の更なる普及に意欲を示しています。※「ITF―2」(ITFはIMAGINE  THE FUTURE.の略)は、2011年3月に発足した筑波大学「結」プロジェクトが開発・制作した2号機で、2014年にHⅡAロケットで打ち上げ・放出された「ITF―1」の不具合を改良した1Uサイズの超小型衛星。

 

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