▼ イベント等のご案内


「第3回 筑波大学発ベンチャーシンポジウム」を開催します

筑波大学では、オンラインにて「第3回 筑波大学発ベンチャーシンポジウム」を開催いたします。

皆様に当大学発ベンチャーをご紹介しご支援を賜るために、今年は「ニューノーマルな時代に果敢に挑む筑波大学発ベンチャー」と題しまして、筑波大学学長 永田恭介とピクシーダストテクノロジーズ代表取締役 落合陽一による基調対談をはじめ、4つの特別対談 や約30社のベンチャー紹介を予定しています。

参加登録の詳細とタイムスケジュールにつきましては、近日中にお送りいたしますので、皆様のご参加をお待ちしています。

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第3回 筑波大学発ベンチャーシンポジウム
「ニューノーマルな時代に果敢に挑む筑波大学発ベンチャー」
2021年2月24日(水)〜2月27日(土)
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主  催 :国立大学法人筑波大学
後  援 :経済産業省(予定)・文部科学省(予定)・茨城県・つくば市
     一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会・筑波大学産学連携会
定  員 : 1,000名
参加申込:登録開始 2月1日(予定)

● ライブ配信:2月24日〜26日、27日再配信
◇ 基調対談
 2月24日 永田恭介(筑波大学学長)× 落合陽一(ピクシーダストテクノロジーズ)
◇ 特別対談
 2月25日 「POSTコロナ時代に必要なこと」 Cyberdyne 山海嘉之
 2月25日 「世界初「後付け型スマートロック」の裏にあった経験とは」 Photosynth 河瀬航大
 2月26日 「筑波大学発ベンチャーが実践する「次世代医療」 」LEBER 伊藤俊一郎
 2月26日 「スポーツ環境デザイン 〜B/Sに見えない価値を高める〜」 Waisports 松田裕雄
● オンデマンド配信:2月24日〜27日
 約30社の筑波大学発ベンチャーを紹介予定

【筑波大学産学連携企画課 産連 企画・イベント事務局 event-sanren                              】

▼ 今月のおすすめニュースピックアップ


ユンケン大学、ラオス保健科学大学との戦略的パートナー協定調印式を実施

12月21日、本学は、タイ王国コンケン大学とラオス人民主共和国ラオス保健科学大学の3者で、戦略的パートナー協定を締結しました。オンラインで実施した調印式には、本学から永田恭介学長、 コンケン大学からマイトリイ副学長(Assoc. Prof. Maitree Inprasitha Vice President for Education and Academic Services)、ラオス保健科学大学から ボントーム・サムントリー学長(Dr. Bounthome Samountry、 Interim President)が出席しました。

本協定は、筑波大学附属病院国際医療センター鈴木貴明副部長(高度救命救急センター併任)らによる「交通事故から住民の命を守る救急救命活動支援プロジェクト(対象国ラオス)」が、本学で初めて「JICA草の根技術協力プロジェクト(パートナー型)」に 採択されたことを契機とし、タイ・コンケンの地理的優位性を活かしたCLMV (注) 展開、救命救急をはじめとする様々な教育研究分野における多国間連携をさらに発展させることを狙いとするものです。調印後は、コロナ禍においての 救急救命に関する議論を中心に発表と意見交換の場が持たれました。

今回のイベントには、国際協力機構(JICA)タイ事務所、ラオス事務所、筑波国際センターも同席され、JICAを代表としてタイ事務所湯浅次長からは、今後の3大学の活動発展への期待と共に、今後展開を予定しているCLMV対象とした救命救急研修 (第3国研修)の紹介もありました。

今後、この協定を皮切りに協定大学、さらには関係機関との間におけるさらなる連携の発展、また、CLMVへの展開が期待されます。

(注) カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの頭文字

https://www.tsukuba.ac.jp/news/20201224141637.html (筑波大学公式 HP)


アルファラビ・カザフ国立大学 筑波大学オフィス開所式を実施

2020年12月22日、本学のCampus-in-Campus(CiC)協定校であるアルファラビ・カザフ国立大学(KazNU)筑波大学オフィス(AL-Farabi Center)の開所式が執り行われました。

本オフィスはアルファラビ生誕1150年に合わせて開設され、式典にはバウダルベック・コジャタエフ イエルラン駐日カザフスタン共和国特命全権大使ご一行が本学に来訪、出席されたほか、アルファラビ・カザフ国立大学からはムタノフ・ガリムカイル学長、 ムハムベトカリ・ブルキトバイェフ第一副学長らがオンラインにて参加されました。 本学からは永田恭介学長、ベントン・キャロライン副学長(国際担当)、大根田修大学執行役員(国際室長)、臼山利信教授(人文社会系)、小野正樹教授(人文社会系)らが 式に出席しました。開所式に続いてアリヤ・マッサリモヴァ哲学・政治学部長(KazNU)による記念講演が行われました。

https://www.tsukuba.ac.jp/news/20201224171724.html (筑波大学公式 HP)


スポーツ科学とICTの融合により"eスポーツ科学"を推進する産学官連携協定を締結

eスポーツ元年と言われる2018年以降、eスポーツはその遊戯性のみならず、バリアフリー性や教育的効果に期待を集め、市場規模、プレーヤー数、視聴者数等が大きく伸長しています。その一方、eスポーツのトッププレイヤーが日々の過酷なトレーニングのため早期に引退してしまうケースや、 ゲームに熱中しすぎるあまり日常生活に支障が出てしまう「ゲーム障害」が新たな病気として国際疾病分類に加えられたりするなど、eスポーツの科学的研究が十分に進んでいないことから、その価値を十分に引き出せていない状況にもあることが課題となっています。

これに対し、日本最古のスポーツ科学拠点であり、スポーツの健全な発展とその価値の最大化をめざす筑波大学、2019年「いきいき茨城ゆめ国体」文化プログラムにおいて国体史上初のeスポーツ大会を開催し、現在も積極的にeスポーツ普及・振興を推進する茨城県、 地域活性化や施設・教育事業等を推進するNTTe-Sports、地域密着でICTを活用したデジタル化を推進するNTT東日本、は、4者の強みを結集し、スポーツ科学とICTの融合によりeスポーツの健全な発展と普及をめざす研究開発や実証実験等を行うことを目的に、 2021年1月14日に連携協定を締結しました。

https://www.tsukuba.ac.jp/news/20210115114152.html (筑波大学公式 HP)


▼ 筑波大学エクステンションプログラムのご案内


筑波大学エクステンションプログラムのご案内です。
筑波大学エクステンションプログラムは、研究成果を一般の皆様にお伝えするため特色ある講座を
開講しています。
講座は随時開設中。詳細は http://extension.sec.tsukuba.ac.jp/

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  1.公文書管理の最前線2020
  2.キャリア・プロフェッショナル養成講座(第7期)

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1.公文書管理の最前線2020
【 開催日 】 2021年3月20日(土) 〜 3月31日(水)
(オンデマンド型講義4回、リアルタイムディスカッション1回)
【 開催方法 】 オンデマンド型講義&リアルタイムディスカッション(Zoom使用)
【 対 象 】 公文書管理に携わる者や公文書管理に関心のある一般市民
【 受講料 】 8,000円(税込)
【申し込み】 筑波大学エクステンションプログラムHPより2021年2月28日(日)まで

2.キャリア・プロフェッショナル養成講座(第7期)
【 開催日 】 2021年4月11日(日) 〜 2021年11月21日(日) 全27日間
【 開催方法 】 リアルタイム配信及びオンデマンド型録画配信
【 対 象 】 以下の3点すべてを満たす方
・国家資格キャリアコンサルタントまたは
  キャリアコンサルティング技能士1・2級を保有のキャリ
ア支援者
・キャリア支援領域で指導的立場にある方
・実践現場における問題意識をもち、その解決策を検討し、推進していける方
【 受講料 】 296,000円(税込)
【申し込み】 筑波大学エクステンションプログラムHPより2021年2月24日(水)まで
※書類選考あり


▼ 研究成果関連ニュース


電気伝導性と応答速度を両立する新しいゲル状電気化学トランジスタを開発

トランジスタはPCやスマートフォンなどの電子機器などに組み込まれている、電流のオン/オフを制御する重要な素子です。実用化されているトランジスタの大半は、シリコンなどの硬い無機材料で作られており、少ないエネルギーで安定的に動作しますが、 近年は、より幅広い用途に対応できる、柔軟性を持つフレキシブルデバイスの開発が進められています。その一つに、有機材料を用いたトランジスタがありますが、流すことができる電流の量が少ないことが欠点です。これを解決するデバイスとして登場した、 有機電気化学トランジスタ(OECT)は、従来の有機トランジスタよりも、千倍以上の電流を流すことができますが、電流のオン/オフが切り替わる際の応答速度が非常に遅いという課題がありました。

このような電気化学トランジスタの問題を克服するため、今回、本研究グループは、幅数十ナノメートルの有機半導体ナノファイバー中に、その100倍の重量比のイオン液体を取り込んだゼリー状材料「πイオンゲル」を、電極上にのせるだけで機能する、 新しい電気化学トランジスタ「PIGT」(π-ion gel transistor)の開発に成功しました。これにより、これまでに報告されている蓄積モード電気化学トランジスタと比較して、約50分の1の20マイクロ秒以下という世界最高速の応答性と、非常に大きな電気伝導性の 両立を実現しました。このデバイスは、作製プロセスの簡便さとゲル特有の柔軟さから、フレキシブル電子デバイスへの応用が期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20201215140002.html (筑波大学公式 HP)


カワゲラ類の基本形は「薄い」卵殻構造である〜従来の進化体系を覆す新たなシナリオ〜

カワゲラは、成虫は陸生ですが、幼虫は水生で良好な水環境に生息することから、水質の指標生物として重要な昆虫です。分類学上、カワゲラ目は主に北半球に生息するキタカワゲラ亜目と、南半球にのみ生息するミナミカワゲラ亜目というように、 地理的に大きく2つに分けられます。これらの系統学的議論を深めることは、カワゲラ目が所属する多新翅類だけでなく、昆虫全体の進化を理解する上で重要な役割を果たすと考えられます。しかしながら、研究対象の主流はキタカワゲラ亜目に偏っており、 ミナミカワゲラ亜目に関する詳細な研究はほとんど進んでいません。

カワゲラ類の卵殻には、種によって「厚い」ものと「薄い」ものがあります。今回の研究では、ニュージーランド産のミナミカワゲラ亜目3科5種のカワゲラの卵について、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いた観察を行い、詳細な構造を解明しました。 その結果、カワゲラ類の卵殻は、これまで考えられていたこととは異なり、「薄い」ものが基本形であることが分かりました。

さらに、カワゲラ類の卵は、水中で基質に接着することが知られていますが、その接着構造の詳細を、ミナミカワゲラ亜目について解明しました。得られたデータを、キタカワゲラ亜目の接着構造と比較検討し、カワゲラ類の卵の接着構造は、それぞれの亜目で 独立に獲得されたものであることを示しました。

本研究成果は、ミナミカワゲラ亜目の卵構造の詳細を、世界で初めて明らかにしたものであり、カワゲラ類のみならず、昆虫全体の系統進化学的な議論の進展に大きく貢献すると考えられます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20201215140001.html (筑波大学公式 HP)


従来の定説を覆す増殖装置を持つRNAウイルスの発見

ウイルスは、宿主細胞の中で遺伝子を複製することで増殖します。RNAウイルス(コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどを含むウイルスの一群)は、ゲノムがRNAで構成されているウイルスの総称で、RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)によりゲノムを 複製します。RdRpは、すべてのRNAウイルスが有しており、単一の遺伝子によって作られると考えられています。また、その構造や設計図となる遺伝子配列は、これまでに知られている数千種のRNAウイルスにおいて、良く保存されています。

本研究では、ウイルスゲノムの多様性を明らかにする目的で、100株以上の糸状菌を対象にRNAウイルスの探索を行いました。その結果、RdRpが2つの遺伝子に分割されながらも増殖するという、従来の定説とは異なる増殖メカニズムを持つ、新種の RNAウイルスを発見しました。このことは、RNAウイルスのゲノムが、実は極めて高い可塑性を有していることを示唆しています。

RNAウイルスの中には、RdRpの遺伝子しか持たないものもあり、RdRpはRNAウイルスの本体とも言える酵素です。RdRpがすべてのRNAウイルスに唯一共通する酵素であることから、その分類や多様性を調査することで、地球上のRNAウイルス分布が 明らかにされてきました。しかしながら、今回、分割された形のRdRpを持つRNAウイルスの存在が確認されたことで、RNAウイルスのRdRpは単一の遺伝子によって作られるという前提が崩れ、今までになかった視点でのウイルス探索が可能になります。 これにより、今後、さらなる未知のRNAウイルスが発見され、ウイルスの進化や多様性への理解が深まると期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20201218140341.html (筑波大学公式 HP)


視覚障がいアスリートの睡眠の質 〜起床時刻と人間関係ストレッサーが関係する〜

ハードなトレーニングを日常的に行うアスリートにとって、適切な睡眠コンディショニングはパフォーマンス向上に不可欠です。これまでアスリートの睡眠障害についての研究は行われてきましたが、パラアスリート、中でも視覚に障がいのあるアスリートの 睡眠障害の実態やその関連要因についてはほとんど解明されていませんでした。

本研究では、パラリンピック種目であるマラソン、ゴールボール、水泳、ブラインドサッカー、柔道の各競技団体に所属する視覚障害アスリート81人のデータから、睡眠障害の実態とその関連要因(生活習慣・競技活動・競技ストレッサー・メンタルヘルス)について 検討しました。

その結果、視覚障がいアスリートの約3割に睡眠障害がみられましたが、この比率は晴眼アスリートとほぼ変わらない水準でした。一般に、視覚障がい者は晴眼者に比べて睡眠障害が多いことが報告されていますが、日常的にスポーツ活動を行っている 視覚障がいアスリートでは、睡眠の質は晴眼アスリートとほぼ変わらない可能性が示されました。

また、睡眠障害には「午前7時台以降の起床」および「競技活動上の人間関係ストレッサー(ストレスを起こす要因)」が強く関連していることが明らかとなりました。晴眼アスリートに関するこれまでの研究では、「午前7時台以前の起床」「競技活動の意欲喪失ス トレッサー」「メンタルヘルス」等が睡眠障害に関連することが明らかにされており、今回の結果はこれらの傾向とは異なるものでした。本研究成果から、視覚障がいアスリートの睡眠コンディショニングのカギとなる重要なポイントが示されました。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20201218134742.html (筑波大学公式 HP)


日中に烏龍茶を飲むと睡眠時の脂肪燃焼が促進される

烏龍茶にはカテキン類が重合して生成する重合ポリフェノールが多く含まれています。こうした成分がエネルギー代謝に与える効果について多くの研究がされていますが、それらの多くは、1回、あるいは1日摂取した場合の効果のみに着目しています。 しかし、飲用習慣を考慮すると、お茶の摂取を繰り返した場合の効果を評価することがより重要です。また、睡眠時間と体重には関連があり、睡眠とエネルギー代謝の制御は協調していると言われています。このため、食品素材の検討には、睡眠に対する 影響も併せて行うことが重要です。

本研究では、烏龍茶の習慣的な摂取が24時間のエネルギー代謝と睡眠に及ぼす効果を、プラセボおよびカフェインのみを含有した飲料と比較して検証しました。被験者に2週間にわたり朝食と昼食時に烏龍茶あるいはカフェインを飲んでもらい、2週間後に エネルギー代謝と睡眠を測定しました。これをプラセボ飲料の効果と比較したところ、烏龍茶やカフェイン飲料350mlを朝昼2回飲んだ場合、睡眠を妨げずに1日の脂肪燃焼が促進されていました。特に、烏龍茶の脂肪燃焼は、睡眠時に、より大きな効果が みられました。日中は、食事摂取に伴う血糖とインスリンの上昇によって脂肪燃焼が強く抑えられるため、烏龍茶の脂肪燃焼刺激作用が睡眠時に現れたと考えられ、睡眠時エネルギー代謝の測定は食品素材の効果を検証する際にも重要であることが 示唆されました。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20201223140000.html (筑波大学公式 HP)


二重課題運動は高齢者の身体機能や認知機能を向上させる可能性がある

日本の認知症有病率は先進国35ヵ国中で最も高い数値を示しており、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると推定されています。しかし、認知症を完全に治す治療法は確立されていません。従って、その発症を事前に防止すること、すなわち、 健常な認知機能を長く保持する「低下の抑制」が重要です。

加齢に伴い、身体機能や認知機能は確実に衰えていきますが、運動を行うことにより、身体機能や認知機能を維持したり、一時的に向上させたりする可能性があることが報告されています。そこで、運動課題と認知課題の二つの課題を同時に行う 二重課題運動に注目し、その有効性を検証しました。

本研究では、高齢者でも無理なく楽しめる二重課題運動の一つ「シナプソロジー®」と呼ばれる運動プログラムを用い、高齢者24名(平均年齢70.6歳)を対象に、二重課題運動を実施する群(実施群)と実施しない群(対照群)とに無作為に分けて、比較検証を 行いました。実施群には8週間にわたり、週2回(60分/回)の頻度で二重課題運動を行わせた後に、身体機能と認知機能を定量的に評価したところ、いずれの機能も有意に向上しました。一方、運動を実施しなかった対照群では、これらの機能に有意な向上は 見られませんでした。以上の結果より、二重課題運動の実践は、高齢者の身体機能や認知機能を部分的に向上させる上で有効である可能性が示唆されました。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20201228145157.html (筑波大学公式 HP)


筋肉の幹細胞が増幅する仕組みを解明〜筋力低下や筋ジストロフィー治療に期待〜

私たちの筋肉(骨格筋)は非常に高い再生能力を持っています。激しい運動や打撲などで損傷が起きた場合でも、骨格筋組織内にある骨格筋幹細胞の働きで、速やかに再生することが可能です。骨格筋はまた、私たちの体の動きを司るだけでなく、 全身のエネルギー代謝を制御する組織としても大切な働きをしています。我が国は人生100年時代に突入したとも言われますが、骨格筋を一生涯にわたり健全に保つことは、健康で長生きする秘訣であると考えられます。

しかし、加齢や病気により、筋肉の再生が上手くいかない状態が生じます。それは骨格筋組織内に存在する幹細胞の機能や数が低下するからです。このような変容を抑制し、骨格筋を正常に保つためには、骨格筋幹細胞の増幅や性質を維持する メカニズムを明らかにすることが欠かせません。

本研究では、骨格筋幹細胞が増幅する仕組みの一端を明らかにしました。骨格筋幹細胞は、生体外で培養すると、そのほとんどが自発的に骨格筋系の細胞に分化し、増殖が止まってしまいます。しかし、一部の細胞は、自分自身の分身を作り出す (自己複製)ことで増殖能を維持します。骨格筋幹細胞の自己複製能力を高めたり、自己複製する細胞集団を増やしたりすることができれば、生体内外でより多くの骨格筋幹細胞を増幅させることが可能となります。

本研究グループは、タンパク質の翻訳に関わるeIF2αという分子のリン酸化が自己複製細胞で強く誘導されていることをヒントに、骨格筋幹細胞の自己複製を制御する新たな分子メカニズムを同定しました。eIF2α のリン酸化は一般的に タンパク質翻訳を抑制することが知られていましたが、私たちは例外的に eIF2α のリン酸化によって逆にタンパク質翻訳が亢進される分子 TACC3 を同定しました。この eIF2α のユニークなタンパク質翻訳メカニズムの解明と TACC3 の同定により、 従来まで難しいとされていた長期的な骨格筋幹細胞の生体外培養が可能となり、加齢による筋肉量や筋力の減少(サルコペニア) や筋ジストロフィー症などの治療法開発に貢献することが期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20210106140000.html (筑波大学公式 HP)


ガラスにおけるテラヘルツ光の吸収スペクトルを再現可能な新しい誘電関数を提案

一般に結晶やガラスなどの凝縮した物質は電磁波を吸収しますが、その際、電磁波の周波数に応じ、テラヘルツ帯を境として、低周波数側では音波の性質、高周波数側では光学的な性質を持つようになります。ガラス形成物質では、その境界において、 格子振動(結晶中の原子の振動)に起因する、ボゾンピークと呼ばれる普遍的な集団原子振動が現れます。しかしながら、物質の光学特性を評価するための、従来の基礎的な誘電関数では、この特異なダイナミクスを説明することはできませんでした。

今回、本研究グループは、光(電磁波)と格子振動が相互作用した場合に形成される、フォノン-ポラリトンという準粒子の概念を用いて、ボゾンピークによるガラス特有の光吸収を表すことができる新しい誘電関数を提案しました。この提案では、 ボゾンピークよりも低い周波数側では光の減衰が少なく、高い周波数側では散逸が大きいという事実に基づき、従来の誘電関数では説明できなかった、減衰の周波数依存性の表現を可能とし、一つの関数でボゾンピークの出現も表すことができます。 この新しい誘電関数により、これまで困難だった、ガラスのテラヘルツ帯吸収スペクトルの定量的理解・解析を進めることが可能になります。さらに、この関数は、光が不規則的な格子振動中の伝搬を記述する理論的枠組みを応用しており、 ガラスの格子振動のみならず、磁性など他の性質に起因する新しいボゾンピークの発見や、その理解に必要な基礎知見の構築にもつながることが期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20210108140100.html (筑波大学公式 HP)


窒素ドープカーボン触媒の反応メカニズムを解明

クリーンなエネルギー源として水素燃料電池の利用が始まっています。しかし現行の技術では、高価で希少な白金が触媒として使用されており、今後、長期に渡って幅広く普及するには、白金を使用しない触媒の開発が欠かせません。 近年、白金代替触媒として、炭素と窒素のみから構成される窒素ドープカーボン触媒が注目を集めていますが、実用条件である酸性環境下では、活性を著しく低下させてしまうことが重大な課題です。ところが、触媒反応のプロセスが複雑であることから、 活性低下が生じるメカニズムは明らかになっていませんでした。

本研究チームは、均一な構造を持つモデル触媒を用いることにより、窒素ドープカーボン触媒の反応の初期過程および酸性環境下で活性が低下するメカニズムを明らかにしました。

窒素ドープカーボン触媒では、窒素原子に2つの炭素原子が結合したピリジン型窒素と呼ばれる部位が活性点となります。このピリジン型窒素は、酸性溶液中では、プロトンが吸着したピリジニウムとして存在しており、電圧をかけて反応を進行させると、 熱反応である酸素分子の吸着と、電気化学反応であるピリジニウムの還元反応が同時に起こり、触媒反応が進行することを見いだしました。触媒活性を高めるためには、この反応をより高い電位で起こすことが必要です。 そのためには活性点近傍の疎水性を高めることが有効であることも分かりました。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20210108140000.html (筑波大学公式 HP)


グラフェンで被膜した卑金属電極が防食と触媒作用を両立するメカニズムを解明

水の電気分解に用いられる白金電極は、コストや希少性の点から代替品の開発が急務となっています。代替品となり得る卑金属は、低コストかつ埋蔵量が豊富で、潜在的な触媒性能にも優れていますが、酸性条件下での腐食が避けられず、 防食と触媒作用という背反する化学現象の両立は、原理的に不可能と考えられてきました。しかし近年、グラフェン(炭素シート)で表面を被膜した卑金属触媒が、腐食の原因となるプロトン(酸)がグラフェン膜を透過する現象によって、腐食を抑えつつ 水素発生触媒として有効に働くことが分かってきました。本研究では、この現象を多角的に検証し、防食と触媒作用を両立するメカニズムを世界で初めて明らかにしました。

これまで、卑金属表面を被膜したグラフェンは、プロトンと卑金属の接触を遮断して腐食から保護する一方で、それ自体の触媒機能は失活すると考えられていました。しかし今回、炭素3〜5個分の厚さのグラフェン膜が、大量のプロトンから卑金属を保護しつつ、 適量のプロトンを透過させ、卑金属表面で触媒反応を起こしていることが分りました。また、このプロトン透過現象を利用した、水の電気分解用水素発生卑金属電極は、白金電極に比べて、性能的にはやや劣りますが、1/100のコストで作製でき、250時間以上、 腐食せずに運用できることを実証しました。

このメカニズムにより、腐食が起こりやすい環境でも、卑金属が使用可能になることから、水の電気分解装置のみならず、燃料電池用の電極や、その他様々な白金代替用途への応用が期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20210108190000.html (筑波大学公式 HP)


ナノメートルの世界で電子が織りなす1兆分の1秒の世界を可視化

街では車やスマートフォンを手にする人々が行き交い、空には飛行機が、そして家に戻ると多くの電気製品に囲まれた生活があります。こうした当たり前となっている日常の光景、便利な暮らしの多くは、半導体工学やオプトエレクトロニクス (光電子工学)技術のおかげです。より小さく、より速く。世界を今日の姿に発展させ、その基盤となり支えてきた技術です。

しかし、例えば、電子機器などの機能を生み出す半導体素子の単位は10ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)を切る領域に入り、更なる微細化の難しさなど、その進歩故に現れる壁を意識せざるを得ない状況にあるのも事実です。 これまでも幾度となく、技術を高め、研ぎ澄ますことで困難を乗り越えてきましたが、そろそろ、新たな道を拓くことが必要になっています。こうした要求に応えて現状を打開するには、機能を生み出す物質中の電子の極めて速い挙動を原子レベルで捉える 技術の開発がとても重要になります。

本研究では、物質の表面の原子構造や電子の状態を原子1個のサイズで調べることができる高い空間分解能(2点を見分ける性能)を持つ走査型トンネル顕微鏡法(STM)と、1ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)の時間分解能を持つレーザー技術を用いた 分析法を組み合わせることで、C60フラーレン(炭素原子のみで構成されたサッカーボール型の分子)を並べた薄い膜の中に注入された電子が、ナノメートルのスケールで織りなす超高速ダイナミクス(挙動)を可視化することに世界で初めて成功しました。

今回の成果を踏まえ、フェムト秒(1フェムト秒は1000兆分の1秒)の時間領域で現れる更に高速な現象を捉えることや、細胞や細胞を形作る分子を解析することなど生物分野への応用も念頭に置き、本手法の開発を進めています。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20210112140000.html (筑波大学公式 HP)


森林浴習慣は労働者のストレス対処力を高める可能性がある

わが国では働く人のメンタルヘルス不調が大きな問題となっています。メンタルヘルス不調は発生を予防することが重要と考えられており、ストレスにうまく対処できる力(ストレス対処力)がどのような生活習慣と関連するかについて、 多くの研究がなされています。その中で、森林浴など自然との触れ合いがメンタルヘルスに良い影響を与える可能性が注目されています。これまでの研究から、一回(数時間)の森林浴をした場合、リフレッシュ効果などがあることが数多く報告されています。 しかしながら、勤労者が森林浴を習慣として行った場合のストレス対処力との関連については明らかになっていませんでした。

本研究チームは、筑波研究学園都市内の研究者など労働者を対象とした研究を行い、森林散策や緑地散歩の頻度が?いほど、ストレス対処?が統計的に有意に?いことを明らかにしました。この結果は、年齢、最終学歴、世帯年収といった個人特性や、 運動や喫煙といった他の生活習慣の影響を考慮しても有意となりました。

わが国は国土面積の約3分の2が森林で占められており、都市公園や公共施設緑地等の整備も進められています。今後の研究では、森林浴習慣によるストレス対処力への長期的な効果を明らかにしていくことが重要と考えられます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20210113140000.html (筑波大学公式 HP)


レム睡眠とカタプレキシー:筋脱力を起こす共通の神経回路を発見

レム睡眠中は、外眼筋や呼吸筋など一部の筋肉を除き、全身の抗重力筋は弛緩しています。また、過眠症の一つであるナルコレプシーに併発するカタプレキシーは、感情が高まると全身の筋肉から力が抜ける症状で、覚醒しているにもかかわらず、 レム睡眠時と同様な筋脱力が発動して生じると考えられています。しかし、そのような現象を制御する神経回路は明らかになっていませんでした。

本研究では、マウスを用いた実験により、レム睡眠とカタプレキシーに共通する、筋脱力を駆動する神経回路を、初めて同定しました。まず、マウスの脳の延髄腹内側(VMM)という領域に、体性運動ニューロンのみに抑制性の信号の出力先を持ち、 眼球運動を担う運動ニューロンには出力しないニューロン群が存在することを明らかにしました。これらのニューロン群への信号の入力源は、レム睡眠を制御する下背外側被蓋核(SLD)の興奮性ニューロンでした。また、この神経伝達回路を阻害したマウスでは、 レム睡眠時の筋脱力が消失しました。同じ操作をナルコレプシーモデルマウスに行ったところ、カタプレキシーがほぼ消失しました。これより、レム睡眠とカタプレキシーの筋脱力が、SLD→VMM→運動ニューロンという共通の神経回路によって生じることが 分かりました。

ナルコレプシーでは、情動によってこれらの回路が駆動されてカタプレキシーが生じ、一方、レム睡眠行動障害では、この回路が機能しないために、レム睡眠中に異常行動が生じると考えられます。本研究の成果は、これらの疾患に対する治療方法の 開発につながることが期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20210114140000.html (筑波大学公式 HP)


微生物が多様な膜小胞を作る仕組みを解明

微生物は、細胞膜と同じ成分からなる多様な小胞(膜小胞)を細胞外に放出することが知られており、近年、それらの膜小胞が、医療やバイオテクノロジーをはじめとする様々な分野に応用できる可能性を秘めていることが明らかになっています。 しかし、膜小胞の多様性が生じる仕組みについては、いまだに多くの謎が残されています。特に、病原性の高い結核菌などが含まれる「ミコール酸含有細菌」と呼ばれる菌群が作る膜小胞は、病原性に関わる重要な機能を持つことが報告されていますが、 それらの膜小胞ができる仕組みは未解明のままでした。

本研究では、ミコール酸含有細菌が、自らの置かれた状況に応じて、様々な組成の膜小胞を作り分ける仕組みを明らかにしました。ミコール酸含有細菌の中でも無毒株として知られるコリネ菌に、いくつかの異なるストレスを与えたところ、 @DNAの複製が阻害された時、A細胞壁の合成が阻害された時、B細胞膜の合成に必須なビオチン(ビタミンの一種)が少なくなった時、の三つの場合に膜小胞が放出されることが明らかになりました。それぞれの場合で、作られる膜小胞の構造や化学的な 組成は異なっており、かつ微生物由来の膜小胞としては非常にユニークな特徴(入れ子構造や鎖状構造)を有していました。また、同様の仕組みは、コリネ菌以外のミコール酸含有細菌にも保存されていることが分かりました。

このような、微生物が膜小胞を作り分ける仕組みに関する知見は、膜小胞由来の安全なワクチン開発などにも役立つことが期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20210115010000.html (筑波大学公式 HP)


海洋酸性化によって停滞した生物多様性の変化はCO2濃度の低減によって回復する

現在の海洋中のCO2濃度は、サンゴや大型海藻の海中林などの生物体が、海底で複雑な三次元的構造(構造的複雑性)を作り出すのに適しており、それによって高い生物多様性が保たれています。一方、CO2濃度が高くなり海洋が酸性化すると、 生物群の構成が変化する過程(遷移過程)の初期段階において、環境の変化が激しい場所でも多くの子孫を残す生存戦略をとる、微細藻や小型の藻類(日和見種)が増え、他の大型藻類の加入が阻害されます。そのため、生態系における種の多様性は 低いままとなり、構造的な複雑性を持つことができません。構造的複雑性は、様々な生物資源を創出するなど、生態系の機能的側面を支えており、その喪失は、人類が享受する生態系サービスの劣化を意味しています。

本研究では、海洋中の異なるCO2濃度の環境間で生物群集の移植実験を行い、小型藻類が優占していた高CO2環境下の生物群集を、現在のCO2濃度レベルの環境下に移植したところ、数ヶ月程度で、大型藻類を主体とする群集に変化することを 見いだしました。このことは、適切にCO2を削減すれば、生物多様性の停滞が解除され、生態系が回復できることを示しています。海洋酸性化が生物群集を変化させるメカニズムを明らかにすることにより、海洋酸性化に対する生態系の管理が可能になると 期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20210115140000.html (筑波大学公式 HP)


状況に応じて物の価値判断を変化させる脳の仕組みを解明〜脳深部の線条体尾部で情報の統合が行われる〜

ヒトを含む動物の生存にとって、価値ある物を手に入れることは最も重要な行動の一つです。そして、同じ物であっても、動物にとっての価値は物が置かれた環境や状況によって変化します。 動物はその価値を、経験や学習に基づいて適切に判断しているのです。では、どのようなメカニズムで私たちは物の価値を学習しているのでしょうか。これまでは、特定の刺激を受けた時の反応によって得られた報酬から、脳は物の価値を学習すると 考えられてきました。しかし、この学習メカニズムでは、物が置かれた環境の情報は考慮されておらず、どのようにして動物が環境に応じて物の価値判断を変化させているかを説明することはできませんでした。

本研究では、物が置かれた環境を判断する際の重要な手掛かりとなる「背景」に着目し、サルを使った実験で、その学習メカニズムを探りました。その結果、脳の深部にある「線条体尾部」と呼ばれる領域で、背景情報と物体の価値情報が 統合されることによって、環境ごとにどの物体の価値が高いかを学習していることを発見しました。

具体的には、サルに対し、背景画像の中に提示される二つの物体(フラクタル図形)から一つを選択する行動課題を訓練しました。そして、その課題を行っているときに、線条体尾部にある2種類の神経細胞(投射ニューロンと介在ニューロン)の 活動を調べました。この課題では、同じ物体でも背景によって得られる報酬(リンゴジュース)の量が変化するため、サルは背景に応じて選択する物体を変化させます。実験の結果、投射ニューロンは背景によって変化する物体の価値情報を、 介在ニューロンは背景の情報を保持していることが明らかになりました。また、薬を用いて、線条体尾部の介在ニューロンの働きを一時的に抑制すると、新たな背景と物体価値の学習が阻害されました。介在ニューロンは投射ニューロンを抑制していることから、 以上の結果は、介在ニューロンの持つ信号が背景ごとに投射ニューロンの持つ物体価値の信号を変化させることで、背景によって異なった物体の価値情報が作り出されていることを示しています。

本研究は、介在ニューロンが環境に応じた物の価値の学習をコントロールするという、これまで知られていなかった神経メカニズムの存在を示唆しています。また、ハンチントン病やトゥレット障害といった病気では、線条体の介在ニューロンが 減少していることがわかっており、本研究の結果はこれらの病態の解明を促進することが期待されます。

https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20210119050000.html (筑波大学公式 HP)


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