株式会社 エデュケーションデザインラボ 代表取締役社長 平塚知真子さん
早稲田大学第一文学部哲学科教育学専修(教育学)卒業。スターツ出版株式会社に入社後、コミュニティー部門の広告営業を担当。ご主人の転勤に伴い退社した後、2児の出産を経て1998年からつくば市在住。99年に育児情報誌「ままとーん♪」を創刊し、NPO法人ままとーんの初代代表理事として企画、運営、編集などに従事した。
その後、今日の礎となる国立情報学研究所勤務を経て2005年、社会人大学院生として筑波大学大学院教育研究科学校教育コースに入学。
2006年に株式会社エデュケーションデザインラボ(EDL)を創業し、2015年、スマートワークビズ事業で第3回常陽ビジネスアワード「ウーマノミクス賞」を受賞。在宅ワーカーの働き方革命を提案している。
ネットコモンズとスマートワークビズ事業、二本柱で教育サービス事業のひな型を構築したい
㈱エデュケーションデザインラボ(以下EDLという)では、どんな業務をされているのでしょうか?
―次世代情報共有基盤システム「ネットコモンズ」の導入支援や保守、運用事業と、在宅ワーカー100人による「スマートワークビズ事業」、二本立てで展開しています。
まず、御社の主流事業であるネットコモンズについてお伺いします。どのようなシステムですか?
―国立情報学研究所が開発したコミュニティーウエアです。eラーニングや共同研究・学会活動のポータルサイト、SNSサイトなどを簡単に構築できるので、研究成果の公開サイトや学校ウエブサイトの構築に適しています。ヘルプデスクや初期画面構築、モジュールの案内や活用法の支援、カスタマイズ、コンテンツの更新代行などを行います。コストパフォーマンスが良く、現在では全国の小・中・高等学校3万7000校中、約4000校が利用しています。
次に、第3回常陽ビジネスアワード「ウーマノミクス賞」を受賞したスマートワークビズ事業ですが、こちらはどのような事業ですか?
―子育てなどで在宅にいる方の潜在能力を引き出し、活躍してもらうために考えたビジネスです。在宅ワーカーに登録した方が採点や企業の事務、研究データ入力、ネットコモンズの更新などを代行します。育児情報誌を創刊した時にも感じたことですが、筑波研究学園都市近辺の在宅ワーカーさんはとても優秀で、ミスが少ないからか、確実性が評判になり顧客数を伸ばしています。売り上げが良ければ報酬も上がるので、質の高いサービスを提供できます。つくばで教育サービス事業のひな型を作って全国展開できたら良いなと思っています。
ネットコモンズの導入支援とは具体的にどんなサービスですか?
―ホームページのデザインやカスタマイズ事業と一緒で、開発支援やコンテンツの作成、記事の更新代行、サイトの維持管理などを請け負います。私自身が国立情報学研究所時代からネットコモンズのエバンジェリストとして長年関わっていますので、活用の仕方は詳しくご案内できる自信があります。ネットコモンズにはホームページ、Eラーニング、会員サイト、それらをひとつのページで完結するシステムがあり、EDLにはサイトを維持管理できる優秀な在宅ワーカーさんがいるので、システムと人材をうまく活用できていると思います。
在宅ワーカーが中間管理職に就く、新しいかたち
在宅ワーカーさんの存在がすごく大きいようですが、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などもされているのでしょうか?
―筑波研究学園都市在住の当社登録在宅ワーカーを担当業務毎に定期的に集め、直接顔を合わせてミーティングや研修を行っています。ワーカーへの採用は、頻繁に来社可能な人を優先しており、在宅でも孤独感を感じないようにチームを作ります。さらに、チームの中に中間管理職を置くことで、ベテランが新人を見守れるようにしています。半年から一年かけて、信頼関係を作りながらトレーニングを行い、学びながらステップアップし、在宅でやりがいと収入を得ることができる「働き方革命」を提案したいと考えています。8年前に始めたデジタル採点サービスでは、総勢60人のスタッフが年間約82万枚の採点を行っており、110%の売上増を毎年達成しています。

在宅ワーカーによる定例ミーティング
採点などの在宅ワークは薄利多売な印象がありますが、現状はいかがですか?
―確かにそうですね。ただ近年テストの回答は年々記述式が多くなっているので、単価が上がるケースも少なくありません。当社のワーカーさんのなかには8年以上のキャリアを持つ方が15%、3年以上ですと半分以上となり、満足度や定着率は高いと思います。当社は、経験や知識がなくても本人のやる気次第で、ステップアップしていける仕組みを作りました。成長に応じて、報酬は確実に上がります。
先ほど、働き方革命とおっしゃられましたが、在宅ワーカー100人を抱える平塚さんが提案する働き方革命とは?
―高付加価値の在宅業務を創出することで、「在宅で働く=低賃金」イメージを払拭します。また、同じ立場のワーカー同士が切磋琢磨できるコミュニティーや体制、成果報酬制度を導入し、中間管理職や専門職を採用することで、強いチームワークによる高品質なサービスを提供します。これまで戦力化できなかった主婦層にトレーニングの機会を提供し、業務にあたっていただくことで、地域経済の発展に寄与したいと考えています。
※株式会社エデュケーションデザインラボは、2019年3月21日イーディーエル株式会社と社名変更されました。