藻類バイオマスオイル―大量生産技術採算ラインへ


watanabe藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター
渡邉 信 センター長
http://www.algae-biomass-tsukuba.jp/watanabe-kaya-lab/

採算を重視した実証段階へ

筑波大学では、有用な成分を多く含んだ「藻類バイオマスオイル」を保有・生産しています。ベンチャー企業「藻バイオテクノロジーズ」では、このオイルを用いた製品の事業化を目指しています。バイオマスオイル生産のキーとなる大量培養技術においては、採算ラインを重視した実証段階に入り、化粧品やアグロサイエンス製品、機能性食品原料、化学製品などで新しい市場の開拓を目指しています。

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3種類の藻類に注目

石油代替燃料の原料として期待される藻類は、食糧生産と競合せず、高い生産能力を有するバイオマスエネルギーとして注目されています。本プロジェクトでは、「ボトリオコッカス」および「オーランチオキトリウム」という、重油に相当する炭化水素オイルを産生する珍しい藻類のほか、生産地の気象や環境に適した「土着藻類」に着目しています。これらの大量培養技術を確立し、世界的なエネルギー問題の解決へ貢献するのが狙いです。
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●ボトリオコッカス・・・高価値の炭化水素オイルであるボトリオコッセンを高濃度で細胞外マトリックスに蓄積。燃料のみならず化粧品やゴム製品等への応用が期待されます。

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●オーランチオキトリウム・・・高価値の炭化水素オイルであるスクアレンを高濃度に蓄積する藻類を発見。これは世界最高効率。また別のオーランチオキトリウムは高機能性脂肪酸であるDHAを蓄積します。

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●土着藻類・・・「福島県再生可能エネルギー次世代技術開発事業」において、土着藻類による高いバイオ原油生産性と省エネ・低コスト生産につながる研究成果を得ました。これは、日本という低日射量と寒冷期の環境下でも採算のある生産コストに繋がる成果であり、今後に期待が持てる結果となりました。

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さまざまな用途への期待

○抗酸化・抗炎症・抗アレルギー剤や化粧品製品
スクアレンには抗炎症・抗アレルギー作用がありますが、従来のスクアレンは絶滅危惧種の深海サメから抽出していました。その代替品として、藻類由来により動物を殺りくしない低コストでの生産を目指します。スクアレンやボトリオコッセンは保湿効果にすぐれており、安全性が高く、副作用が少ない天然由来の機能性化粧品として販売できます。すでにハンドクリーム「モイーナ」としてボトリオコッセンを含有する化粧品が販売されています。
○EPA、DHA、DPAを含んだ飼料
血液サラサラや脳機能の活性化で人気のあるEPA、DHA、DPAを藻類由来で生産し、魚や養鶏の飼料として販売します。
○植物の成長促進剤と防疫剤
藻には作物の病気を防ぎ成長を促進する成分が含まれており、化学薬品を使わない生物由来の優れた補助剤として人気です。例えば、芝生に使うと緑の期間が長くなり、根をしっかり張るので弾力性が増し、緑も豊かになります。
○化学製品
藻のオイル等成分は、バイオプラスチックやゴム原料として使える高い潜在力を有しています。これらの成分を使えば、高機能性でエコなプラスチックやタイヤ等を販売できます。
○バイオ燃料
高いバイオ原油生産性と省エネ・低コスト生産が見込まれる土着藻類により、100円/L以下の生産コストを目指します。

特許・主な論文

1)ボトリコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)の新規株(日本、米国で特許成立)
2)高いスクアレン生産能を有する新規微生物およびこれによるスクアレンの製造法(中国、米国で特許成立)
3)藻類ハンドブック(NTS刊)
4)新しいエネルギー 藻類バイオマス(医学評論社/みみずく社)

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