筑波大学 生命環境系
桑山 秀一 准教授
生物学専攻
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~hidekuwayama/
コーヒーやお茶などに含まれているカフェインの過度の摂取は、重篤な中毒症状を発生することがあります。ところが、この重篤な症状を引き起こす分子メカニズムは長年不明でした。
今回、遺伝子組換え技術により作製した、 細胞性粘菌のアラキドン酸合成酵素(PLA2)
欠損株が、高濃度カフェイン体制に関与し、この経路はヒトでも同様に働いている事を生理学的に明らかにました。
関連記事が毎日新聞2012年8月15日に「高濃度カフェイン 細胞死促進」に掲載されております。
新規抗がん剤に期待
カフェインの抗がん剤との併用効果は金沢大等で報告されていましたが、そのメカニズムに関わる報告は今回が初めてです。
我々は今回発見した新たな細胞死経路により抗がん剤の機能を特異的に増強する抗がん増強剤の発見に期待を持っております。
私たちの研究室では同じ細胞死経路を有するモデル生物細胞性粘菌PLA2のKOや高発現株を利用して、容易に細胞死経路の詳細の解明やカェインの持つアデノシン受容体を介した副反応を持たない目的の化合物をスクリーニングする研究を行なっています。
企業などへのメッセージ
新たな抗がん関連剤開発のため、共同研究の相手を求めています。
特許・主な論文
Kuwayama H. Arachidonic acid enhances caffeine-induced cell death via caspase-independent cell death. Sci Rep. 2012;2:577. doi: 10.1038/srep00577. Epub 2012 Aug 15. PubMed PMID: 22896810; PubMed Central PMCID: PMC3419364.