機能性成分を脂質でカプセル化する


筑波大学 生命環境系
市川 創作 教授
ナノマイクロシステム、食品化学工学
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http://www.agbi.tsukuba.ac.jp/~hanno/

多相エマルション法、あるいは脂質被覆氷滴水和法という2つの新しい製造技術を使用して、親水・疎水いずれの薬理成分や食品機能成分も脂質でカプセル化(リポソーム)できます。 特に水に溶けやすい親水性成分を効率的にカプセル化できる製造技術です。

今技術の特徴

既存の技術では「内包化効率が低い」、「サイズ制御が困難」、「量産化が困難」などが課題でしたが、下記の技術により克服しています。
1)脂質カプセル(リポソーム)のサイズは基材エマルション水滴の大きさを反映
⇒ サイズ制御可(数百nm~数μm)
2)エマルション水滴に含まれる物質を直接内包化 ⇒ 高内包率~90%以上を達成
3)簡便な操作で多数の脂質カプセル (リポソーム)を生産 ⇒ 簡便な設備で量産化可能

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想定される用途

脂質カプセル(リポソーム)製造技術の課題であった「内包率・サイズ制御・量産化」を改善しました。また、従来は疎水性機能物質のカプセル化が主でしたが、本技術により親水性物質も効率的に内包化できるため、医薬品、機能性食品、化粧品など様々な用途に応用できます。

企業への提案

脂質カプセル化により、薬理成分や食品機能成分等の安定性を、製造・流通段階で高めると共に、使用時に効果的に作用させるのに有効です。
機能性成分素材をご提供いただければ、試験的にカプセル化を検討します。さらに、機能成分の特性や使途に応じて脂質カプセル(リポソーム)化の製造条件の最適化を共同的に研究します。

特許・主な論文

1) 特願2008-135009(PCT/JP2009/002242)
特許 第5371030号
ベクシルの製造方法、この製造方法によって得られるベクシルおよびベクシルを製造するためのW/O/Wエマルション
2) 特願2011-505984(PCT/JP2010/054399)
特許 第5649074号
ナノサイズの一次乳化物を利用する二段階乳化によるリポソーム製造方法
3) 特願2007-53089; 特許 第4009733号
米国 特許番号 第8,246,868号
ベクシルの製造方法、この製造方法によって得られるベクシル、ベクシルの製造に用いられる凍結粒子の製造方法
4) Sugiura et al., Novel method for obtaining homogeneous giant vesicles from a monodisperse water-in-oil emulsion prepared with a microfluidic device, Langmuir, 24 (9), pp. 4581-4588 (2008).
5) Kuroiwa et.al., Efficient encapsulation of a water-soluble molecule into lipid vesicles using W/O/W multiple emulsions via solvent evaporation, J. Am. Oil Chem. Soc., 93 (3), pp. 421-430 (2016).

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