頸部装着型機器による嚥下機能評価


筑波大学 システム情報系
鈴木 健嗣  教授
医療・介護機器
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http://www.ai.iit.tsukuba.ac.jp/

嚥下能力の低下による誤嚥が原因となる誤嚥性肺炎を含めた死因は平成23 年時点で12 万4652 人(日本人死因3位)となっており、嚥下状態の定量的な計測や解析が急務となっております。
そこで、簡便に頸部に装着できるマイクロフォンから食事中や嚥下時に音を計測する嚥下音解析機器を開発しました。これにより、機器による解析結果を、嚥下能力の維持・向上させる食事やリハビリプログラムの提供、介護食品開発につなげることが期待できます。

新技術の特徴

本技術は、簡便に嚥下に関わる、食塊が口頭通過にかかった時間(嚥下時間)、正常嚥下回数を計測し、むせ込みや発話を検出することができます。食事介助の領域では、嚥下に関わる指標を定量的に計測する技術は未だなく、本技術革新性は毎回の嚥下動態の計測の先にある「食卓を囲む社会的行動(共食)の支援」といえます。

競合技術との比較

詳細な検査はX 線を用いた嚥下造影検査や内視鏡を用いた嚥下内視鏡検査がありますが侵襲性が高く、年齢によっては実施ができない場合もあります。一般に、スクリーニング手法は簡便な水飲みテストなどが、判断基準は嚥下を専門とする経験を積んだ医師や栄養士などが聴診により嚥下の有無やむせの有無を観察するのみに留まっております。

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頸部装着型機器の販売と嚥下データの分析事業を想定

本機器による嚥下音解析結果が以下の場面に活用されることが想定されることから、機器の販売および嚥下データの分析事業の展開を想定しています。
1.日々の嚥下能力の評価と食の摂取に関わるリハビリテーション
日々の嚥下能力の評価により、個人の嚥下能力に適した食形態(とろみの調節など)の提供、リハビリプログラムの提供が可能となり、嚥下能力の維持・向上が期待できます。
2.介護食品開発での嚥下動態への影響評価
食品メーカーの開発した介護食品がどの程度嚥下能力に適した食品なのかが明らかとなります。

企業などへのメッセージ

事業拡大に向けた資金調達や本事業のバリューアップに繋がるパートナーを求めております。

特許・主な論文

特許取得済(2016年)
– Jayatilake, D., et al., Smartphone-Based Real-time Assessment of Swallowing Ability From the Swallowing Sound, IEEE Journal of Translational Engineering in Health and Medicine, doi: 10.1109/JTEHM.2015.2500562 (in press)
– Nagae, M., and Suzuki, K., “A Neck Mounted Interface for Sensing the Swallowing Activity based on Swallowing Sound,” Proc. of Annual International Conference of the IEEE EMBS, pp. 5224-5227, 2011.

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